ほうねんいけえんてい豊稔池堰堤
区分 | 建造物 | 時代 | 昭和前期 |
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指定内容・指定日 | 重要文化財・西暦2006.12.19 | ||
所有者 | 豊稔池土地改良区 | 所在地 | 香川県観音寺市大野原町田野々 |
豊稔池堰堤は柞田川(くにたがわ)上流に位置します。昭和4年に竣工したこのダムは延長145m、高さ30mで、正面には5基の吐水口(とすいこう)があります。この吐水口はサイフォン式と呼ばれるもので、池内の水が満水になると自動で排水を行います。また、平面形が孤を描く、独特の設計はマルチプルアーチダムと呼ばれるものです。戦前の溜池堰堤としては国内唯一のものであり、巨大な堰堤が緩やかにカーブするさまはまるで西洋の古城のようです。
当時としては先進的な造形をもつこのダムの建設工事には、地元農民が作業員として従事しました。工事に携わるうえで必要な技能を習得するために、地元が主催する講習会も開催されました。
地元手作りのこのダムは、現在でも下流域に農業用水を供給する地域にとって欠かせない存在であり、例年7月の「ゆる抜き」(樋門(ひもん)の放水)は県内を代表する夏の風物詩でもあります。